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2010年7月24日土曜日

富山旅記その1

















今年はまだ7月だというのに、関東は連日の猛暑。外を歩くと、夜でも汗が止まらない。7月21日新宿駅5番線、新潟行きの夜行快速「ムーンライトえちご」に乗車する。

この列車は元々通年運転だったものが、昨年から青春18きっぷの利用日を中心に運転される臨時列車に格下げされてしまった。全国に派生した「ムーンライト」シリーズの元祖なだけにとても残念だが、格安ツアーバス全盛の時代になお運行してくれるだけありがたいとも思える。

定期列車のときは485系電車で運行されていた「ムーンライトえちご」だが、季節臨時化以降は183系電車に変わったようだ。今回乗車したのは、かつて特急「あずさ」として運行されていたと思われる白と水色の2色に塗られた6両編成の車両であった。

車内は冷房がよく効いていて生き返る心地。入線と同時に乗車したので、他に乗客はほとんどいない。座席に腰を掛けてリクライニングを倒すと、カシャンと1段の簡易リクライニングシート。夜行列車で簡リクとはなかなかキツイものがあるが、昔の昼行特急用車なのでまあやむおえまい。見渡すとところどころで塗色がはがれていたり黄ばんでいたり、かなりの経年劣化が見られる。乗り合わせた2人組の乗客が「昔の電車だね」と言っているのを聞いて、もう183系電車も古参の部類に入るのだなあとしみじみ。

出発直前になってもあまり乗客は増えない。18きっぷシーズンなので隣の席にも人が来るだろうと覚悟していたが、それどころか前後左右空席である。前の座席を回転させて足を乗せている人までいてゆったりしたものだ。7月のしかも平日なので、18きっぷシーズンといえどもまだ旅行者はそう動き出さないらしい。

















まだ発車前だというのに、車掌さんが検札にやってきた。さっそく青春18きっぷを差し出して安心していると、「指定券は・・・?」。指定券だけ別のポケットに入れていたので、出すのをすっかり忘れてしまっていた。久しぶりの夜行快速乗車のブランクを感じるところである。


















23時6分に列車は新宿駅を発車。ほどなく天井のスピーカーからオルゴールの鉄道唱歌が流れる。オルゴールの鉄道唱歌は、グリーン車にある車掌室に搭載されているものだと思っていたので、グリーン車が連結されていないこの列車で鉄道唱歌の、しかもオルゴール版が聴けるとは思わなかった。これは嬉しい。

続いての車内放送では、型通りの停車駅や列車編成の案内をしている。183系に代わっても、相変わらずの6両編成。一番先頭はレディースカーで女人専用となっている。放送では、「この列車は新潟まで車内深夜灯に切り替えません」とも言っている。要は夜行列車でよくやる車内の減光をしないということらしいが、いったいなぜだろう。元々昼行特急用の車両なので、減光したくてもできない車両なのだろうか。座席の夜行列車に乗る時の一番の楽しみが、車窓を眺めることなので残念だ。明るい車内からは外があまりよく見えない。

















高崎駅に到着したところまでは覚えているのだが、そのあとは記憶がない。どうやら発車してすぐに寝てしまったようだ。次に気付いた時には、列車が長岡に到着する直前。車内放送では「普段使っていないホームに到着いたしますので、お降りの方を駅社員が出口までご案内します」と言っている。どういう意味かなと思っていると、やがて柱に駅名板を剥がしたらしき痕跡がある幅の狭いホームに到着した。たしかに業務用の機器やらが設置してあったりして、通常の旅客ホームとは雰囲気が違う、少しうす暗いホームだ。

不思議に思って家に帰ってから調べてみると、このホームは長岡駅の1番線なのだそうだ。かつては特急列車などを中心に一日何本かは客扱いを行っていたのだが、近年の列車本数の減少で不要になり、現在は通過列車が通るだけでホーム自体は閉鎖され立ち入り禁止となっているということだ。この日はそんな使われなくなった筈の「幻のホーム」に下車するチャンスだったわけで、今思えば降りなかったことが悔やまれる。あらかじめ知っていたら飛び起きて、断固下車しただろうに・・・残念w

新潟駅には5時前に到着。昔なら当たり前だったのだが、こんなにも早朝に終着駅に着いてしまう夜行列車は今では珍しくなった。ムーンライトえちごには過去に何回も乗車しているが、新潟で降りて目の前に停車している村上駅行きの快速に乗らないのは今回が初めて。今日の目的地は村上とは正反対の富山である。